種の会の理念

創始理念

子どもの立場を尊重し、新しいかかわり(「大人と子ども」、「大人どうし」、 「子どもどうし」の関係性の再構築)を創造する施設にする。

経営理念

・対話による経営(保育と運営)によって園の社会的価値を高める。
 ・協同性と多様性の両義で各園各様の園運営を目指す。

運営理念

「みんなでみんなをみていく園づくり」を大切に同僚性の向上に努める。
 ―― 私たち一人ひとりが作り手です ――

「みんなで、みていく」とは、

園の職員だけでなく地域ボランティア、学生ボランティア、専門機関など、子どもに関わる人々の輪を広げる実践を意味します。

「みんなを、みていく」とは、

園児だけでなく、地域の子育て家庭全般に広げて、関わる内容(関係性)を深めていく実践を意味します。

「みんなで、みんなを、みていく」とは、

人の輪を広げ、関わる内容(関係性)を深める手立てや方法に対して、専門性を追求する実践で、これによって、保育園の社会的価値を高めます。

創始者よりご挨拶

子どもって神秘的だと思いませんか? 私は、宇宙に探検に行くのと同じぐらいにワクワクする存在だと思います。子どもは、庭に土と水があるだけで、さまざまな遊びをどんどん生み出します。子どもは、髪の毛をつかむぐらいの喧嘩をしていても、5分後には仲良しになれます。

私が男性でありながら、「保育士」という仕事を選んだのは、この神秘的な世界をどこまでも探求したくてしかたがなかったからです。神戸で保育の仕事をはじめたとき、男性保育士(保父さん)は一人もいなかったと思います。周囲から見れば「めずらしい人だねえ」という事になるのでしょうが、私は全く気にしませんでした。ピアノの稽古も、保育士の資格を取るための勉強もほとんど苦になりませんでした。大学を卒業して、まわりの友人たちが大銀行や公務員として就職していくのを見ていて、うらやましいと感じるどころか、どこか気の毒にさえ思っていました。

「保育に一生をかけて関わっていくことが自分の天職だったんだろう」、幼少期からのさまざまな体験を思い起こすと、今になって私はそう確信します。少し奇妙に思われるかも知れませんが、私は自分が2歳だった時に弟が産まれたときの状況も、3歳頃の出来事やその時々の自分の気持ちも鮮明に覚えています。覚えているからこそ、今、子ども達と接していて、「子どもはこういう状況では、こういう気持ちになるんだ」ということが容易に理解できるのではないかと思っています。

園に大切なお子さまを通わせてくださっている保護者のみなさま、これから入園を希望してくださる保護者のみなさま、職員のみなさん。この理念が私のマニュフェストです。私は、子どもたちを支える一人ひとりの方々としっかりと気持ちを重ね合わせて、子どもの成長や発達を共に喜び合えればと願っています。


ある日、園に来たら、周囲の草がきれいに刈ってあってびっくりしたことがあります。そして、郵便受けを見たら、「雑草がすごく垂れていたので、誠に勝手ながら自分たちで刈らせていただきました」と老人会のみなさんからメッセージがありました。もう本当に頭が下がりました。今でも、その園の周囲の草刈りは、老人会のみなさんが行ってくれています。また、園でお預かりしている支援の必要な子どもたちには、一対一で関われる大人が必要です。地域にお願いをして、「有償ボランティア」を募ったところ、たくさんの方が来てくださいました。私たちもしていただくだけではなくて、園にあるものを「行事で使いたいので貸してください」といわれれば、喜んでお貸ししましたし、地域のお祭りや催し物には常に参加しています。参加して一緒に楽しんだり、困った時にお互い助け合ったりという関係の中で、地域のみなさんが「この園のことを支えてあげよう」、私たちは「地域の子育て支援を担おう」という相互の関係が深まるととてもうれしいです。

私は、運営理念として「みんなでみんなをみていく園づくり」という言葉を掲げています。園の保育者が園児だけをみていればいいというスタンスではなくて、地域のボランティアの人たちを含めた大人たちが、園児だけでなく、地域の子育て家庭全体を見ていく、その中心的な役割を担いたいと願っています。そうすれば、園でも地域でも、子どもたちの笑顔が満ち溢れると思うのです。

創始者 片山 喜章